BW33の転覆抵抗

■ BW33の転覆抵抗=1.87

船が過度にヒールすると起き上がることが出来ず、船体が逆さまに成ります。
マストが海底に向き、船体は船底を海面に出すこととなります。
ヒールしてすぐ転覆する船と転覆しにくい船があります。
転覆抵抗とは転覆し易さを数値で表したものです。
転覆抵抗の数値が2以下の場合、その艇は十分な転覆抵抗を有していると見なされます。
BW33の転覆抵抗の数値は1.87であり、十分な転覆抵抗を有している。
転覆抵抗=



以下はKAZI誌、1992年11月号に乗ったハワード氏の「フロム・ザ・ボースンズ・チェア」、”キャップサイズ、転覆”
からの引用です。
「前略
ファストネットレースの悲劇をきっかけに転覆の原因を探ろうと調査が盛んに行われた。
調査の詳細についてはUSSR(合衆国ヨット・レーシング・ユニオン)による報告書にまとめられて
いるほか、ジュン・ルーマニアが編集し、クルージング・クラブ・オブ・アメリカが出した本にも概説されている。
中略
マストの重要性。艇はディスマストしてしまうと非常に転覆しやすくなるというタンク・テストにの結果に驚いた人は多い。
中略
艇のサイズの重要性。
艇は小さいより大きい方が転覆しにくいというのは周知の事実である。
中略
実用的な公式を開発するために、研究プロジェクトでは、ロール慣性モーメント、ビーム、それに艇の垂直重心位置の
3つをもとに、”キャップ・サイズ・レングス(Kapsize Lengs)”という数値を編み出した。
中略
転覆からの復元。
転覆に関してもう一つ問題になるのが、万一転覆した場合、磁力で復元出来る能力、それに自力復元できる能力、
それに自力復元できるまでにかかる時間である。転覆時の”安定性”が良すぎて、容易に復元しない、あるいは全く
復元しない艇もある。
中略
ノックダウンに寄る転覆。
復元力という言葉で表される、ヒールに対する抵抗力とは、艇がヒールした場合、まっすぐな位置に戻そうとして働く
力のことである。
ノックダウン(普通、マストが水面近く、あるいは水面に触れるまで傾くことを言う)した場合、艇が復元出来るかどうか
は、復元範囲によって決まる。艇がヒールすると、ヒールに対する抵抗力、つまり復元力はゼロから最大へと上がり、
続いて復元範囲に向かうにつれて、ゼロに近づいて行く。
復元範囲が大きい艇、例えばこれが140度ある艇は、マストが水面スレスレになっても(約90度)、十分なヒール抵抗力
、すなわち復元力を持っている。一部のレース艇に見られる様に、復元力が110度しかない艇の場合、ノックダウンに
よって、艇の復元力はかなり失われてしまう。
■対転覆抵抗の公式。
転覆に対する安全性プロジェクトの目的は、艇の転覆し易さを知る方法を編み出すことにあった。
これは完成したのだが、複雑な技術資料が要るため、どの艇でも利用できるというものでは無い。
だが幸いなことに、プロジェクトメンバーが、ORCのかてごりー1のレースで使うために、この公式の簡略版を
作ってくれた。これはレーサーからブルーウォーター・クルーザーに到るまで、艇の転覆せいを概算したい
人なら誰でも使える公式である。
簡略化した公式では先ず、艇の総重量(ポンド)を64で割る。この数の3乗根で最大幅(フィート)を割る。
その結果の数字が「2」以下だった場合、その艇は十分な転覆抵抗を有していると見なされる。

以上、KAZI誌からの引用。